津液病とは
津液は「体を潤し、乾燥から守る水分」です。
この津液が足りなくなるか、余分に溜まって巡らなくなると、不調が出てきます。
気病・血病が「量と流れ」の乱れだったのと同じく、津液病も大きく2つのパターンに整理できます。
①津液不足(しんえきふそく):潤いが足りない
体を潤す水分が不足している状態です。
汗のかきすぎ、下痢や嘔吐、発熱、乾燥した環境、加齢などで起こりやすいとされます。
- 肌、喉、目、口の乾燥
- 唇や舌が乾く
- 便が硬い、コロコロしている
- 尿の量が少なく、色が濃い
- 空咳が出る
「体の乾燥」のイメージです。以前の「津液と夏の養生」の話(熱中症で水分を奪われる)も、この津液不足につながる内容です。
②水液停滞(すいえきていたい):余分な水が溜まる
量は足りていても、水の巡りが悪くなり、体のどこかに溜まってしまった状態です。肺・脾・腎といった臓の働きが落ちると、水をうまく巡らせたり外に出したりできなくなって起こるとされます。溜まり方によって、呼び名が少し変わります。
- 湿(しつ):体にまとわりつく、重だるい水分。
体が重い、頭が重い、食欲がない、下痢気味など - 痰(たん):水分が粘って濃くなったもの。
咳や痰、胸のつかえ、吐き気、めまいなど - 飲(いん):水が薄いまま特定の場所に溜まったもの。
お腹がチャポチャポする、胸やみぞおちの水っぽい不快感など - 水腫(すいしゅ):水が皮膚の下に溜まったもの。
むくみ、特に顔や足のむくみ
「水の渋滞・水たまり」のイメージです。
気滞・血瘀が「気や血の渋滞」だったのと同じ構造で、水の巡りが悪くなったのが水液停滞です。
まとめると
津液病=津液の「量」と「巡り」の乱れ。足りない(津液不足)、溜まる(水液停滞)
一見まったく逆の症状(乾燥とむくみ)ですが、どちらも水の巡りと量のバランスが崩れているという点では同じ仲間です。
乾燥しているのにむくむ、ということも実際に起こります。
気・血・津液の変調が出そろいました。
| 足りない | 巡りが悪い | その他 | |
|---|---|---|---|
| 気 | 気虚 | 気滞 | 気陥・気逆 |
| 血 | 血虚 | 血瘀 | 血熱・血寒 |
| 津液 | 津液不足 | 水液停滞 |
「足りない」と「巡りが悪い」が、3つに共通する基本のパターン
東洋医学の基本は、中庸、バランスを保つ考えでもあり、不足もよくなく、十分を超えてもよくない、というものです。
足りる、足らないだけではなく、鬱滞や逆といった言葉が、東洋医学ではどんな変調かを表すのに使われます。
虚実という言葉もそうです。
少し難しく思えるのですが、実はシンプルで、誰もが理解しやすい考え方だと思います。
体は言葉を発さないので、痛みや視覚、触覚といった感覚を通じて、私たちにサインを出します。発熱、下痢といったアピールの強いサインには、敏感に気づいて対処されると思います。軽視されやすいのが、我慢できちゃうサインです。この我慢できてしまうサインが、後々に厄介な症状となることがあるので、そうなる手前にお手入れしてあげることが、長く丈夫に保っていく秘訣です。
例をあげると、腰痛。起床時の痛みや、作業後の鈍痛は、しばらくすると普通になってしまうため軽視されますが、この蓄積が「ぎっくり腰」となって、痛みになることがあります。
日常で感じる変調を記しておくと、健康維持の大事なヒントにつながると思います。
「未病を治す」東洋医学の基本概念、今時の健康ワードにあてはめると
「整える」ってことに似ています。
「整える」とは、もとに戻して、使いやすくしておく。
それによって長持ちすることにつながる。
体もそうです。
東洋医学は身体のメンテナンスを考える時に役立つと、個人的に思っています。
以上、東洋医学の体の症状の見分け方を、シリーズで紹介しました。
次回からは「五臓六腑」についてです。
症状によっては、東洋医学だけに限定せず、西洋医学的な検査や治療との併用が必要な場合もあります。当院では症状に応じて、西洋医学との併用や医療機関への受診もおすすめすることがあります。ご自身の判断だけで治療を選ばず、気になる症状がある場合は医師にもご相談ください。
【この記事を書いた人】ひびき治療室 院長
国家資格を持つ鍼灸マッサージ師として30年、さいたま市南区根岸で施術をしています
治療室WEBサイト内「先生の脳活・推活」は思うままに投稿しています
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